アルビノや顔の変形、あざ、まひ……。外見に症状がある人たちが学校でいじめられ、就職や結婚で苦労する見た目問題。当事者は、人生の様々な段階で困難に直面します。「何でこんな顔に生んだと親に迫った」「好きな人に告白をしてはいけないと思ってきた」。そんな経験を持つ2人の当事者は、偏見が残る社会に何を望むのか? この問題に関心が高い、お笑い芸人の村本大輔さんと、トークイベントで語らいました。(朝日新聞記者・岩井建樹)
イベントの登壇者たち
このイベントは、外見に症状がある人たちの人生を追いかけた「この顔と生きるということ」(岩井建樹著・朝日新聞出版)の出版を記念し、8月16日に東京・渋谷で開かれました。
【村本大輔さん】
1980年、福井県生まれ。2008年に中川パラダイスとお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」を結成、13年に「THE MANZAI」で優勝。全国各地で精力的にライブを開く。19年春まで、AbemaTV「Abema Prime」でMCを務めた。
【河除静香さん(動静脈奇形)】
44歳。富山県在住。血管の塊が口や鼻にある。これまで血管の塊を切除する手術を40回以上、繰り返してきた。見た目問題をテーマに、一人芝居を各地で演じている。
【石田祐貴さん(トリーチャーコリンズ症候群)】
26歳。筑波大大学院生。小さなあご、垂れ下がった目が特徴。中学時代、引きこもりを経験。小学校などで自らの体験を発信している。
【岩井建樹】
39歳。朝日新聞記者。「この顔と生きるということ」著者。長男(9)が右顔の表情筋不形成で生まれ、笑うと表情が左右非対称になる。
マスクをつける人も、つけない人も
イベントは、実体験をもとにした、河除さんの一人芝居から始まりました。「お前には基本的人権はない」。中学時代、同級生から投げつけられた言葉を、セリフに盛り込みます。
そのまま、トークセッションへ。最初のテーマは「どんなときに見た目問題を感じるか」です。
石田さん 知らない人と接するときに感じます。驚かれたり、指を差されたり。中には、いかにも僕とは関わりたくないという態度をする人もいます。
河除さん 普段はマスクをしていて、外すのが怖いです。「どんな反応をされるのだろう」「嫌われるのではないか」という不安がどんどん大きくなっています。
村本さん 20代前半のとき、大阪の商店街で、たまたまトリーチャーコリンズ症候群の子どもを見かけて。当時、彼を見て一瞬、「見間違いか?」と思って、ぱっと見て、すぐに視線をそらしたんです。
番組で石田君に会ったときに、その話をしたら「たぶん、それ僕です。近くに住んでいました」と言われた。石田君は街を歩くときもマスクをしませんが、その理由は?
石田さん 最大の目的は、ただ僕が(マスクせずに)街を歩きたいからです。結果的に、僕を見た人が、僕の顔を見ることで何か感じてもらえたらいいかなとは思っています。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース